the eating & lives in TAKASHIMA

第18話 冬の森の教室
〜ジビエが焼けた①〜
【 マキノ 】

罠に掛かった鹿*この鹿の写真は市内の他の猟師さんが捕獲撮影したものです。
罠に掛かった鹿*この鹿の写真は市内の他の猟師さんが捕獲撮影したものです。
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  • 猟師としての3つの思い
  • 1.猟師の仕事とは、狩りから解体まで
  • 2.命をいただいていることを忘れず
  • 3.顔の見える関係作りが変える未来
小川さんと猟の相棒
小川さんと猟の相棒
【画像】田畑の中の鹿の足跡
田畑の中の鹿の足跡
【画像】むらに忍び寄る獣の道
むらに忍び寄る獣の道
【画像】イノシシの下顎 想像以上に鋭い
イノシシの下顎 想像以上に鋭い

「猟師とは、狩りから解体までできる人間のこと」
そう語る小川さんは、マキノ町森西区にお住いの猟師さん。ご自分で猟をしながらも、他所の獲物の解体も請け負っている。

元は獣と人間とはきちんと住み分けがされていた。だから昔は猟師も自分が食べる分だけを狩っていた。しかし今はどうだろう。人間の生活領域が拡大し、杉、ヒノキの建材用の木材の植林により森に多様性が無くなり、木の実などの山に住む獣の食料が減り、さらに管理が行き届かない森は下草が生えなくなってしまっている。結果として獣は人間の生活域へと侵入し、各地で獣害が発生している。だが猟師の数は高齢化に伴い減っている。狩り、ましてや解体まではとてもではないが手が回りきっていないのが現状だ。
小川さんが解体を請け負うようになったのにはこういった背景と、もう一つ理念がある。「どんな形であろうと命をいただいていることには変わりない。」
害をなした獣であろうと、一つの尊い命を奪っているのだ。簡単に廃棄していいものではない。余すことなくできる限り活用する、命と向き合う。猟師としての責務であるかのように感じられた。
昨今流行しているジビエは、こういった思いを体現したものだろう。だが如何せん、野生の獣が相手。人が食すための品質管理は至難の業なのである。

そこで今後は顔の見える関係作りがジビエを支えると小川さんは確信している。狩り・血抜き・解体処理・それらのスピード、多くの要因でジビエの味は左右される。各段階で適切な処理がされなければ味は直ちに劣化してしまう。一度美味しくない肉が出回るとジビエ馴れしていない人たちの間には「ジビエ=美味しくない」という固定観念が生じてしまう。実はマキノ地域ですらジビエを食べるカルチャーは限定的だそうだ。供給の安定しない野生動物を手間をかけて解体し都度肉に仕立てていては明らかに歩留まりが悪い。しかしそれでも小川さんは志を貫きたいと考えている。捕る人、捌く人、食べる人の関係づくりが一層大事になっている。


ライター

太田 彩
長崎県佐世保市出身。なぜ高島に来たのかと尋ねられると「成り行きです。」田舎すぎず都会すぎず、湖ばかりでなく山ばかりでなく、何かとバランス感覚に優れた高島に惚れ、地域おこし協力隊に。活動集落内では人生の大先輩たちに囲まれ、「変わる勇気」と「変えない努力」を学ぶ日々を過ごしています。

カメラマン

春山 太郎
今津に住んで46年、カメラ歴約20年。15年前に自動車タイヤ部品販売会社を退職してからは湖西フォトクラブ会員となり風景やネイチャー写真を撮り歩いています。今津山上会(高島トレイル・近江坂古道整備)、今津ガイド勉強会(街中案内)、ヴォーリズ今津郵便局の会等のボランティア活動もしています。(今津町在住)

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