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第29話 高島の酒【上原酒造】
~天秤搾りと情熱②〜
【 新旭 】

ダイナミックな天秤搾り
ダイナミックな天秤搾り
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  • 上原酒造3つの方針
  • 1.精米と洗米へのこだわり
  • 2.山廃仕込み
  • 3.樫木の天秤搾り
昔ながらの道具にこだわる
昔ながらの道具にこだわる
きびきびと続く作業
きびきびと続く作業
ここから梃の原理で酒を絞り出す
ここから梃の原理で酒を絞り出す
窓から差す光と影が印象的
窓から差す光と影が印象的

上原酒造の歴史は、創業154年目、1862年、文久2年、坂本龍馬が土佐藩を脱藩、伏見では寺田屋事件など、幕末の激動の時代が始まる中、太田の地で酒造りを始めたそうです。
おそらく古くから良い水と米に恵まれた地域だったことが想像出来ます。
現在もこの太田の地に湧き出る安曇川の伏流水と地元の酒米そして、何年も蔵に住み続けてきた蔵付き酵母が使われています。そして何より特徴的なのは梃子の原理で酒を搾り出す「天秤しぼり」。上原酒造には、受け継がれる技術や環境を守りながら、現代にも通用する酒を造り続ける迫力が有ります。

酒造りの大まかな工程は、精米→洗米・浸漬、蒸米→麹づくり→酒母づくり→モロミ発酵→酒しぼり→火入れ→貯蔵・熟成だそうです。上原酒造では、その全ての工程に徹底したこだわりを持って酒造りをしています。

こだわり その1 精米・洗米
酒米は、作柄による米の硬軟や成分の違いに応じて、精米・洗米・浸漬・蒸米の工程で、水分量の微妙な調整を行う必要が有ります。納得した麹づくりをする為に自社精米を行っており、県下では、自社製米しているのは、3社だけとのこと。
酒米は、精米によって、でんぷん成分がかわるので、米の品種に応じて精米率を調整しています。以前は、精米を委託していたそうですが、品質にバラツキがあったので、コンピューター制御の精米機を導入しました。上原酒造で唯一の機械です。
洗米は、限定給水、水の温度、水加減、余分な水を吸わせない、かけ流しで洗米しています。洗い時間は酒米によって違うので、蔵人がその都度経験で調整しています。

こだわり その2 酒母づくり・もろみ造り
25年前に杜氏がかわり山廃仕込みを再開しました。上原酒造の蔵に延々と引き継がれた蔵付き天然酵母は雑菌に強いものが生き残り、味のばらつきがない酒が出来るそうです。
もし雑菌が出てしまえば1年間の酒造りが無駄になってしまう。その様な事にならない様に温度調整しながら手間暇をかけ、約1か月かけて仕込んでいきます。
仕込み樽は柾目で節目の無い乾燥した杉の木でつくられており、1800リットル桶2本で仕込んでいます。この樽は、柿渋をぬり抗菌し、カビが生えない様に常に殺菌して使用しているそうです。
※)山廃仕込とは、空気中の乳酸菌などの微生物を取り込んで自然のままに培養・育成し、これらの微生物によって有害な雑菌を死滅させ、酵母の育成の環境を整えます。しかも目的を達成すると、これらの微生物は、麹が生成した糖と乳酸菌自身が生成した乳酸によって消滅し、引き続き雑菌のいない環境で徐々に優良清酒酵母が大量に増殖・育成されるという、まさに自然の摂理にかなった醸造方法です。
黄桜株式会社 ホームページより

こだわり その3 樫木の天秤しぼり
もろみをしぼる作業では、以前は機械しぼりをしていましたが、30年ほど前に廃業した大阪の蔵で天秤棒を見つけ、現在は2台の天秤しぼりで、しぼっています。天秤しぼりをしているのは県下唯一で、全国的にみても十数件程度とのこと。
機械搾りに比べて10%〜15%は搾りきれないそうです。しかし本当に美味しい部分だけを酒にし、柔らかな味にしたいという思いから天秤しぼりにこだわっているとのこと。
また、酒粕にお酒が残っているので、酒まんじゅうや粕汁は絶品。以前は奈良漬けを漬け込むのにも非常に重宝されていたものの、最近は漬ける方が随分減ってしまっているようです。


ライター

山川 貴正
市役所市民協働課定住推進室で移住定住コンシェルジュをしています。2010年に京都市からUターンで地元今津町に戻ってきました。システムエンジニア30年のキャリアを活かして、主に求職相談を行っています。(今津町在住) 高島市役所 市民協働課定住推進室

カメラマン

三上 紀顕
1940年山口県生まれ。職歴は建築設備士、健保職員。滋賀に来て47年になります。私が本格的に写真を始めてから46年になります。大阪のプロ写真家に師事し基礎から学びました。今私の得意としているのは風景写真です。特に撮影している範囲は高島市内です。写真も奥が深くまだまだ道半ばです。(安曇川町在住)

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