the eating & lives in TAKASHIMA

第35話 栗本さんの杉と根曲り杉の家に住む家族
~時には時に委ねる生き方を①〜
【 朽木 】

独自の林業経営を営む栗本さん。
独自の林業経営を営む栗本さん。
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  • 栗本さんの森づくり3つの思考
  • 1.下草が茂る明るい森林づくり
  • 2.100年単位の実験の場
  • 3.風土にあった施業
しっかりと間伐され下草が美しい栗本さんの林。
しっかりと間伐され下草が美しい栗本さんの林。
下草の植性を丁寧に教えて下さいました。
下草の植性を丁寧に教えて下さいました。
列状に異なる種の杉を植えての長い年月をかけた実験。よく見ると葉の先端の形が異なっている。
列状に異なる種の杉を植えての長い年月をかけた実験。よく見ると葉の先端の形が異なっている。
一人で山から木を伐り出して来ます。
一人で山から木を伐り出して来ます。

栗本慶一さんは朽木(くつき)の桑原集落の大きな林家です。林業の他に評価の高い米や、栃の花の蜜だけで作る蜂蜜の生産も行なっています。土地に根を張る理想的なライフスタイルを送られています。

1 下草が茂る明るい森林づくり
水と光で理想の森を
明治中期からの地杉の森を案内してもらった。地杉とは、種からその山で育ってきた杉のことで、選別されていないので木の個性が樹高差として表れやすい。伸びた根は言わば幼馴染の地杉の根と絡みあっている。これを栗本さんは「根と根が握手してるんですよ」と教えてくれた。
風に吹かれて種が切り株に落ちる。あとは水と光の力で天然林として森は育っていく。水と光の力を取り込むために栗本さんが手入れをする。そうしてやれば後は自然に淘汰され我慢強い木ができる。木漏れ日のなか話を聞く間、森の下草は優しく通り抜ける風に揺れていた。それこそ栗本さんの理想の森の姿だった。

2 100年単位の実験の場
複層林への挑戦
離れて山林を見たときに樹高の高さが階段状になっている山林がある。栗本さんが複層林(2段林)を試みている山林だ。ここでは樹齢が100年近い木〜20年程度の木が共存している。雪に弱いなどデメリットもあるが一斉に山から切り出すことがないので環境の変化が小さく山により優しい施業のあり方として試みている。
栗本さんは本来の山の姿を大切にしたいとう思いから、出来るだけ皆伐(一斉に一つの区画の木を全て切り出すこと)をやらないようにしている。当然作業効率は落ちる。しかし森で儲けるより森で楽しみたいという思いが独自の森づくりの哲学となっている。

3 風土にあった施業
芦生(あしゅう)杉の育成
ひとえに杉と言っても実は沢山の種類があることをご存知だろうか?栗本さんは自身の森でいろいろな杉の品種を育てて実験して来たが、やはり在来種である「芦生杉」が最も適しているということを確信した。 芦生杉は雪の降る地域でも大きく成長し切り株から新しい芽を出すことも多い杉らしい。しかし、植林を前提とした近代林業が一般的になって以降は芦生杉の施業は珍しいといえる。一般的な植林は購入した苗を植えるが、種が落ちて自然と発芽した状態を「実生」という。実生から育ってきた木は土地との相性が良く、強い木に育つ。

栗本さんの森の取材を終え、それまでは私は日本の山林は戦後の林業の結果どこも同じ姿になっているとばかり思っていました。しかし、栗本さんの森は違っていました。風土を理解して、自然に耳を傾けた林業は一本一本の木に個性が表れています。そして何より「あの杉はどうなるかな」と楽しみにしながら木と向き合っている栗本さんの姿が印象的でした。


ライター

原 周右
地域おこし協力隊員。2015年、地元大阪でのサラリーマン生活に一旦、ピリオドを打ち移住。市の地域振興事業や街のイベントに参画している。「高島の人と食」プロジェクトにはライター兼お手伝いとして参加(高島町在住)

カメラマン

三上 紀顕
1940年山口県生まれ。職歴は建築設備士、健保職員。滋賀に来て47年になります。私が本格的に写真を始めてから46年になります。大阪のプロ写真家に師事し基礎から学びました。今私の得意としているのは風景写真です。特に撮影している範囲は高島市内です。写真も奥が深くまだまだ道半ばです。(安曇川町在住)

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