the eating & lives in TAKASHIMA

第12話 国境のマザーテレサ
~子供たちに本当の食を届けたい~
【 マキノ・国境地区 】

手作りの炭焼き小屋、いい味出してます
手作りの炭焼き小屋、いい味出してます
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  • 野口集落の3つの素敵なところ
  • 1.復活させた炭作り
  • 2.環境にやさしい炭の循環
  • 3.炭がつなぐ豊かな人間関係
野口の炭で焼くお餅は最高!
野口の炭で焼くお餅は最高!
寄里藍サロンの食を支える畑
寄里藍サロンの食を支える畑
古本さんが炭の灰や木酢液で育てた立派なお野菜
古本さんが炭の灰や木酢液で育てた立派なお野菜
大きな白菜と古本さん
大きな白菜と古本さん

野口集落には、「炭焼きおやじの会」が存在します。もともと、住む人の6~7割の方が炭焼きをしていた土地柄です。「木は植えてから10~15年で切り、手入れをしないと山がだめになる」と炭焼きおやじの会の古本さんが教えてくださいました。

里山保全のためにも重要な炭作り。昔は「燃料」といえば、炭か薪しかなく、自動車も木炭で走っていた時代もあったそうです。しかしそれらの燃料は石油や電気に変わり、次第に炭の需要は無くなりました。時代の流れとともに一旦は無くなった炭の生産ですが、それを野口集落の皆さんで復活させ、今では炭を商品化するに至りました。炭だけではなく派生商品として石鹸や木酢液も販売しています。そのほか、雪を溶かすのに炭をまいたり、肥料の代わりに炭の粉や灰をまいたり、炭にはいろいろな効果があり、野菜づくりにも生かされているそうです。
また、炭作りは地元の方だけではなく、マキノに移住してこられた方が体験したいと来ることで移住者との交流になったり、別荘地の木を切ってほしいと頼まれたところから木が手に入ったり、まさに近江商人の「三方良し」の事業です。今では7~8月には1,5トンの炭を作られるそうです。

炭作りと一言で言っても、工程は長く、大変な作業です。大きな釜の中に木を入れ、80度で燃やし始めます。5~6時間かけ、煙を見ながら空気の穴を絞り4~5日じっくりと焼き、火が消えてから3~4日置く。これを何度も繰り返します。この、野口の炭「夢炭(むーたん)」は、質もよく道の駅ではリピータも多いとのこと。

寄里藍サロンでのおばんざいに使う野菜も、囲炉裏も、この炭が大活躍です。囲炉裏でお餅を焼きながら「囲炉裏はいいわよ~。昔は囲炉裏を囲んで人が集まって、貧しくても幸せだったのよね」とおっしゃる新田さん。
囲炉裏のある家は、高島でもずいぶん少なくなっていると思います。
最近は外国のもの、便利で簡単なものが増えたので、日本の古き良きものが薄れていることを危惧しておられます。ですが、外国から来たもの、便利で簡単なものを否定されるわけではなく、「今ここにある素晴らしいものに目を向ける」事をなによりも大切にしていらっしゃいました。
幸せ、満たされる、ということを外に求めてもだめ、まずは自分で感じること。囲炉裏の火が人の心を溶かすのも、理屈ではなく「感じる」から。
四季の移ろいや自然の豊かさ。決して高級食材ではないけれど、手をかけ、自然の恵みを感謝し、みんなで楽しくいただくこと。食や囲炉裏を通してただ「感じてほしい」。特別なものや特別なことではなく、自然に自由に。それを「ここでひっそりとやっているんです」とおっしゃいます。

マザーテレサの言葉に「世界で一番恐ろしい病気は孤独です」というものがあります。
新田さんはまさに「孤独」から人を救う国境のマザーテレサかもしれません。


ライター

岩城 美穂
大阪府高槻市出身。若い頃は都会に憧れ、大阪市内に住む。子どもが生まれ、環境の良い所でのびのびと育てたい!と一発奮起。2000年に、夫と当時1歳と生まれたばかりの2人の子ども、家族四人で親戚も知り合いもいない高島市に思いつきで移住。家族でのびのびし過ぎ、子ども五人に増えました(笑) 7人家族になった現在は、家事育児を楽しみつつ整理収納アドバイザーとして自由に働く傍ら、市民活動やキリスト教会の奉仕活動など、「頼まれたらとりあえずやってみる」精神でいろいろな事に挑戦中。今回、ライターとして少しでも高島の魅力を伝えられたら、と思います。

カメラマン

高村 洋司
1965年生まれの50歳。 成人式の当日は他人の振り袖撮影助手していた・・と書くとその道30年以上のベテランみたいになるのですが3年ほどは写真と関係のない仕事をしていたこともあります。結局戻ってしまい現在に至ります。今住んでいるマキノの家は2006年頃から手を付け始め、住めるようになったのは3年程前。大工仕事やメカニックが本業だと思われているフシもありますが違いますのであしからず。
太田 彩
長崎県佐世保市出身。なぜ高島に来たのかと尋ねられると「成り行きです。」田舎すぎず都会すぎず、湖ばかりでなく山ばかりでなく、何かとバランス感覚に優れた高島に惚れ、地域おこし協力隊に。活動集落内では人生の大先輩たちに囲まれ、「変わる勇気」と「変えない努力」を学ぶ日々を過ごしています。

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